紹介と展示会で受注は回っているのに、自社サイトから試作の相談は来ない。専任のWeb担当がいないまま会社案内で止まっているサイトを、試作の初回取引の入口に作り替える方法を、受託加工業(切削・板金)の経営者・営業責任者向けに整理します。
試作の発注者は、加工会社のサイトで何を見て候補を絞るのか
外注業者の選定に関わる製造業従事者100名への調査では、Webサイト上に必要な情報が掲載されていないことで選定先の企業候補から外した経験のある人が全体の36%でした。必要とする情報の1位は「製品情報・仕様」、2位が「価格」、3位が「納期」です(出典: 製造業界における業者選定プロセス上の企業Webサイト利用実態調査 | イントリックス)。試作領域では、この3つに対応数量の下限と工程の範囲が加わると整理できます。ページ上でこれらを照合できないと、問い合わせの前に候補から外れます。
サイトの有無では差がつきません。ホームページを開設している企業の割合は93.2%です(出典: 令和6年 通信利用動向調査報告書(企業編) | 総務省)。大田区の実態調査でも、新規顧客開拓の方法は「取引先、同業者・仲間を通じた情報発信、もしくはそれら企業からの紹介」が52.6%で最多、「自社ホームページを通じた情報発信」が41.7%、「先方から自社への直接の問い合わせ」は28.4%です(出典: 令和6年度 大田区ものづくり産業等実態調査 本編 | 大田区)。
粒度の基準は、試作・小ロットを正面から訴求する会社のページにあります。YUMO PARTS は「最短見積2時間」「最短で1日納期での出荷が可能」「1個から製作」「1000個までの量産が得意領域」と数値で置き(出典: 切削加工の依頼を1個から | YUMO PARTS)、材質ページでは「A5052, A5056から、超々ジュラルミンのA7075まで」、表面処理はアルマイト処理(陽極酸化)・アロジン処理(化成皮膜)・無電解ニッケルめっき・硬質クロムめっき・三価クロメート処理と処理名まで下ろしています(出典: アルミニウム切削加工の依頼を1個から | YUMO PARTS)。製造業ポータルでも「得意ロットは1~1000個/最短納期1.0日/最短見積もり2時間以内/納期厳守率99.99%」が定型項目として並びます(出典: 湯本電機の製品・サービス一覧|イプロスものづくり)。
板金では工程の持ち幅が判断材料になり、穴沢製作所は「切断、曲げ、溶接、組立、処理、検査、配線組立まで一貫して対応」と並びごと明示しています(出典: 小ロットの金属加工はどこに依頼する? | 穴沢製作所)。数量は定義とセットにすると誤解が減り、宝栄工業は小ロット部品加工を「1個から数個、または10個程度までの少量部品を加工すること」と定義しています(出典: 小ロット部品加工 | 宝栄工業株式会社)。
試作専用ページ 掲載項目チェックリスト(印刷して現行ページと突き合わせる)
| ✓ | 掲載項目 | 書く粒度 |
|---|---|---|
| □ | 対応数量の下限 | 「1個から」。小ロットの定義も併記 |
| □ | 対応数量の上限 | 「1000個まで」など得意領域のレンジ |
| □ | 見積回答時間 | 「最短2時間以内」と時間で書く |
| □ | 最短納期 | 「最短1日」と日数で書く |
| □ | 対応材質 | A5052・A7075のように型番まで |
| □ | 表面処理 | アルマイト、無電解ニッケルめっき等 |
| □ | 工程の範囲 | 切断→曲げ→溶接→組立→処理→検査 |
| □ | 保有設備 | NC旋盤・マシニングセンタなど形状と対応づけて |
| □ | 図面が無い段階の可否 | 「相談可」と明記 |
加工事例は1件あたり何を書けば、試作の問い合わせにつながるのか
加工事例は写真集ではなく、発注者が自分の案件を重ねる照合表です。項目を固定し、試作と量産で前に出す情報を変えると、問い合わせ前の自己判定が進みます。テクノポートは載せる項目として「材質、サイズ、精度、幾何公差、ロット数(試作かor量産かを伝えたい)、業界、加工方法(設備など)、納品先、値段、備考」を挙げ、掲載形式は「1製品に対して1ページ」としています(出典: 誰でも納得する加工事例、製品事例の書き方 | テクノポート株式会社)。
混ぜないほうがよいのは、評価軸が段階で入れ替わるためです。Protolabs が767名のエンジニア・デザイナーに実施した調査では、初期試作で最優先されるのはスピードで、信頼性と使いやすさが続きます。継続生産・短期生産では86%・85%が品質を第1位に挙げます(出典: Product Development Trends in 2024 | Protolabs)。
| 試作事例で前に出す | 量産事例で前に出す | |
|---|---|---|
| 見出し | ロット数(1個/数個)、納期日数 | 月産数量、継続年数 |
| 本文 | 図面確定前のやり取り、代替材質の提案 | 寸法精度、幾何公差、検査体制 |
| 写真 | 全体写真+加工部の部分写真 | 全体写真+検査・治具の部分写真 |
| 導線 | 相談専用フォーム | 見積依頼フォーム |
Protolabs は、後期段階の試作は量産で使う予定の製法(CNC加工や射出成形)に揃えて作るのが合理的だとしています(出典: Transitioning From Prototype to Production | Protolabs)。「この工程のまま量産へ移行できる」と書ける案件は、明記すると後の商談が短くなります。件数を増やす前に領域を絞った例もあります。研究開発部門にターゲットを絞り難削材の加工に注力したサイトは、公開から約1年で約26社の新規契約に繋がる問い合わせを獲得しています(出典: 製造業Webマーケティング事例14選 | テクノポート株式会社)。
図面が固まる前の相談を、ページとフォームでどう受けやすくするのか
試作の相談が止まりやすいのは、発注者が「図面が固まっていないのに聞いていいのか」で迷う段階です。図面確定前の相談は例外ではありません。大田区の調査で「製品企画、開発・設計、デザイン工程」を強みとする事業所に相談内容を尋ねたところ、「具体的な仕様・図面が示されていない段階において」具体的な提案をおこなった事業所が64.8%を占めました(出典: 令和6年度 大田区ものづくり産業等実態調査 本編 | 大田区)。現場で日常的に起きていることが、ページ上で宣言されていない状態です。
打ち手は、受け付ける素材を具体名で書くことです。東北製作所は「部品の写真・現物・手書きの寸法図・簡単なイラスト・使用用途」を並べています(出典: 部品加工の相談だけでも歓迎 | 東北製作所)。フォームの名前も変えられ、CV改善策として「相談申し込み用フォームの設置(「問い合わせ」とは表現を変え、あくまでも疑問解決の場とする)」が挙げられています(出典: 【BtoB製造業】ホームページの問い合わせを増やした成功事例と対策10選 | テクノポート株式会社)。回答時間を先に約束すると送信のためらいが減ります。Protolabs は板金部品の解析は数分、複数部品のアセンブリは1営業日以内と明示しています(出典: Get Fast Sheet Metal Quotes with Design Feedback | Protolabs)。自動解析が無くても「当日中に一次回答」は運用で置けます。

そのまま使える 相談導線の文言テンプレ
【試作・小ロットのご相談】
図面が固まっていない段階でもご相談いただけます。
次のいずれかをお送りいただければ、加工の可否を一次回答します。
・部品の写真、または現物
・手書きの寸法図、簡単なイラスト
・使用用途、使用環境のメモ
対応数量:1個から1000個まで
最短納期:◯日/一次回答:当日中(営業日)
添付できるファイル:PDF / Excel / 画像(1ファイル◯MBまで)
※お見積りのご依頼は「見積依頼フォーム」からお願いします。
このフォームは「うちで作れるか」を確認いただく場です。



